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漆 うるわし Ⅱ 

3根来

鎌倉在住の漆芸作家T氏のお宅で見せていただいた3個の根来椀、
朱の色も鮮やかで 手取りも良い。
右手前の縁黒の椀は氏の作であるが 残りの2つは桃山 江戸期の根来椀である。
黒縁の椀は T氏が日々お使いの椀で 三十年ほどお使いとか、
使い擦れもあり 朱の上塗りの中から下に塗られた黒漆が顔を出し始めており
良い顔になってきている。

やけど

正面の黒の部分 奥様がガス台で火に当てた部分だそうで いわゆる「やけど」 
一部 火膨れになってしまった。
傷の裏側、直接 火で焙られた部分も 少々焦げたそうだが 
表面塗りなおし 今に至っているそうだ。

傷1

この根来椀も氏の作品の椀だが 正面に傷(割れ)が有る。
傷の部分 薄めた漆で「含浸」を施し 接着。
まだまだ充分使えるし この傷も味になる。
私の椀は この椀の兄弟分で もう17年も使っているのだが まだ下地の黒が顔を出さない。
毎日使っているのに、発育不足?のようだ。

普段の椀

これらの黒の椀も全てT氏作の椀で T氏の日々の椀である。
ちょっと見 桃山 江戸期の椀にも見える。
最初は 黒漆を塗っただけのシンプルな椀だったそうだが 
古寂びてきたので 奥様のリクエストで表面に朱漆で絵付けをされたそうだ。
秋草に月、桧垣文の様に見えるが 雰囲気もあり 私は好きである。

傷

この椀にも傷があるが 手を加え修理されているので 問題なく使っていける。
日々の食器である。
今出来のお手軽食器でも「食器」という用途は同じではあるが
手仕事の物と 工業製品の物との違いは歴然である。
天然漆は 石油系の塗料とは違い 人間に優しい。
天然成分ウルシオールには抗菌作用もあると聞く。
「木」の優しさ、あたたかさ、漆の質感を感じつつ 私は手仕事の物を使いたいし
自分で 作りたい。
漆器を使うというと 気が張るという方が多いようだが 案外気軽なものである。
大事に使わねばならない物もあるが ちょっとした事を気遣えば タフなものだし 長く使えるのだ。


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category: 日々の「器」

Posted on 2012/05/24 Thu. 04:03  edit  |  tb: 1   cm: 3  

めんぱ・・・私の弁当箱 

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私が 日々愛用している 弁当箱の素材は檜で 
木曾の奈良井宿で一目惚れして 買った物である。
かなり 使っているが 重宝している。

薄い檜の板を曲げ 桜の皮で固定し 檜の板をはめ小判型の箱にした曲物で
軽く優しい風合いの 地味な弁当箱である。
天板と側面の曲げ板のつなぎ目は コクソ漆(木の粉と漆を混ぜた物)で
接着してある。
職人さんの手仕事で作られたもので 完成するまで日数がかかる物である。
一個 一個「顔」を持っている弁当箱で
飴色の透き漆で 何回も塗り重ねられており 
おかずを詰め込むと どんなヘボな料理でも 美味しく見えるのである。

食器店に行くと カラフルなお弁当箱は たくさん並んでいるが
この手の弁当箱は ほとんど見かけることは無い。
プラスチックの弁当箱は 洗い桶で水に何日も付け置きしても
全然平気だが この漆の弁当箱は NG。
それだけが 今風の弁当箱に較べると不便だが
きちんと 使い方を守れば ずっと優れていると思う。
漆で塗られているのだが 水分を適度に木が吸うため 
白飯や オカズが 実に美味しいし
漆自体に 殺菌作用もあるそうで 食材の痛みも少ないそうだ。

プラスチックの弁当箱は100均ショップでも お手軽に買えるし
タッパーウェア形式の物は 汁モレも皆無。
実に お手軽で 一見便利かもしれない。
だが 私はあえて「不便さ」を楽しみにしたいのだ。

漆の塗装が 剥げてきたら 漆を塗り直せば良い。
その時が来たら 好みの色に塗り直そうと 手ぐすねを引いて待っている。
「根来」にでも してみようかと思っているのだが
まだ当分 その機会は回って来そうにない。
もしかしたら 私より 長持ちするかもしれないと思い始めている。

日本の漆産業は難しい。
木曾の漆産業も 立ち行かない所も多く
随分 廃業をされた店も多いそうだ。
しかし「良い」物は「良い」のだ。
この日本の伝統的な「弁当箱」の「良さ」を
再認識すべきではないかと思う。

category: 日々の「器」

thread: 和風、和物、日本の伝統

janre: 趣味・実用

Posted on 2009/12/26 Sat. 17:53  edit  |  tb: 0   cm: 7  

日々の「器」・・・根来鞠椀 

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私のお椀は根来の鞠椀で 現代物である。
椀の素材は桂のの木だそうだ。
鎌倉の作家の方の作品を 本で見かけ 一目惚れをし
知人の伝手を頼り 作家氏に電話をかけた。 
清水の舞台から 飛び降りるつもりで分けて頂いたのだ。
とは言うものの 高級漆器の「値段」からしてみれば はるかに安価であった。
もう15年以上使っているのだが 
いまだに 根来の真髄の 下塗りの「黒」が顔を出してくれない。

「高級漆器」は漆を塗り 表面を研ぎ そして又 漆を塗る
下地作り 布着せ 下塗り 中塗り 上塗り 仕上げと
手間と時間が 大変かかる物である。
それ以前に 木を伐採し 寝かせ乾燥し 木地師が轆轤で刳る。
それも 様子を見ながらの作業なので 木にもよるが
木地として完成するのにも 時間が必要なのである。
当然それら一連の作業は 値段に反映され、本物の「漆器」は 
私達の生活から遠ざかっていくのだ。
蒔絵とか 螺鈿とか 加飾が加われば 
ますます 庶民の手が届かなくなるのは 
仕方が無いことなのかもしれない。

中世の椀・・・合鹿椀、根来椀などは 殆ど下地処理もせず 
漆を厚く塗り 研ぎもソコソコ 堅牢かつ大胆 
質実剛健、豪放磊落、野武士のような面構えの「器」であった。
健康的な「美」と「強さ」を持った物だった。
しかし それとて 庶民には「高嶺の花」の器であったのだ。
その力強い椀に 私は いたく 心が惹かれるのだ。

「高級漆器」のお椀から見たら 
私の椀の器胎は厚みがあり 
塗りにムラがあり 悪く言えば「大雑把」な椀である。
しかし 大らかで暖か味があり 私は大好きなのである。

「高級漆器」の椀は お吸い物 お味噌汁は美味しく飲めるだろうが
豚汁 粕汁の類の汁物を頂くのには 
少々 敷居が高いように思われる。
しかし 私の椀は 何でもござれ 
シチュー、ポタージュだって 楽しくいただける。
この一見 雑駁に見える椀は 器の度量が広いのだ。 
オールマイティーの「優れ物」だとさえ 思っている。
物の持つ「底力」を感じさせてくれる椀である。
下地の「黒」が顔をだしてくれるのは いつのことであろうか。
私は 心待ちしている。

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category: 日々の「器」

thread: 工芸

janre: 学問・文化・芸術

Posted on 2009/12/13 Sun. 00:44  edit  |  tb: 0   cm: 9